成功哲学に学ぶ 健康の法則
著者:山口天祐
はじめに
 前著『病気に克つ人、負ける人』(知道出版)を上梓してから、いろいろな方のご意見を頂戴しました。「大阪のおかしなおっちゃん」にとっては、とても有難い経験でした。なかには拙著を何十回も繰り返し、繰り返し読んでくださったという方のお手紙を頂戴し、感激したこともありました。
 内容は私が普段思っていることを、別に飾ることもなく平易に書かせてもらったのですけれども、世の中、同じような悩みを持たれる方が多いですな。病気のこと、世渡りのこと、共鳴してくださることが多かったようです。
 実は前著の中で「難病に克つための7つのヒント」というのを書きました。当たり障りのないことのようですが、たくさんの人が賛同してくれて健康維持、病気克服に利用していますという声を寄せてくださいました。
 そこでこの「7つのヒント」について、もっと掘り下げて考えてみようと思ったわけです。
 その7つをもう一度あげてみますと、
 (1)気持ちで克つ
 (2)運を引き寄せる
 (3)笑いを忘れない
 (4)正しい呼吸・睡眠法を身につける
 (5)バランスの取れた食事をする
 (6)適度な運動を続ける
 (7)病院治療がすべてではない
というものです。前著とは少し表現は違いますが、内容は同じことです。

簡単だが継続が難しい
 何事も言われてみれば簡単なことが多いですよ。ここにあげた7つの健康法だって、「よく言われていることじゃないか。別に新しいことじゃない」とおっしゃる人もいるでしょう。でも考えていくと奥が深いものばかりですよ。みんなここにあげたことを実行すれば体にいいと思うに決まっています。だったら、実行すればいい。実行すれば皆さん健康になる。それができない。
 だから(8)として「継続しなければ何の役にも立たない」という項目を入れたいところですが、まあ、まあ、そうした弱さが人間の常です。あまり、厳密に考えず、本書を読み進んでいただいて、全部でなくても一つ二つ継続して習慣化できるものを見つけてください。
 皆さん、成功者にインタビューして
 「成功の秘訣を教えてください!」
と必ず聞きます。成功者があれこれとヒントを教えてくれたのに、インタビューを聞いた数分後、ほとんどの人がそのヒントを忘れて、これまでと同じような行動を相変わらず繰り返します。前著でもこのことを書きましたが、本当に成功者になりたかったら、成功者と同じことをやってみればいいんですよ。それが一番の成功への近道と違いますか。
 同じ失敗を何度も繰り返すのはあきまへん。「これだ!」と思ったら、少々の障害はものともせずやり通して下さい。それが成功への近道になります。
 本書では病気に負けない『勝ち組』のお話をしようと思います。病気に克つ心はよく考えて見ますと、事業や仕事の難問を乗り越える心構えと相通ずるような気がします。したがって事業成功者の話も病気に克つ方法のヒントになります。逆もまた真なりです。

絶対的積極心の意味
 私ね、中村天風先生の教えは素晴らしいと考えている一人ですが、先生の教えの中に「これだ!」と思う言葉があります。それは「絶対的積極心」というものです。
 絶対的というからには相対的な積極心というのもあります。これの説明のほうが分かりやすいので説明しますと、自分より強い者に負けたくない、仕事やスポーツ、勉強で負けたくないという気持ちの裏返しとして出てくる積極心のことを言います。
 「あの人は積極的にいろいろな会合に参加して、意見を述べますね」
 「いやいや、今度の市会議員選挙を狙って顔を売ってるんですよ」
なんてことようあるでしょ。あれですねん。
 こういう積極性は「相対的積極心」といいまして、モチベーションが必ずある。モチベーションがあるから積極性を持つことができる。これは一般的にはいいことではありますが、ただ、積極性を維持するためには、いつもモチベーションを探していなくてはならないでしょ。これも大変なことです。
 こういう人たちを狙って「積極性を身に付ける講習会」などというセミナーが企画される。高額な研修費用を払いながら、講師に怒鳴られて涙を流しながら訓練をする。人に金儲けさせてどないします。これは本末転倒ですね。
 それはともかく、絶対的積極心というのはそうした競り合う気持ちとか、他人を意識した気持ちがなく、泰然自若の心で物事に積極性を持って対処できることを言うのだそうです。  これはイメージとしては分かりますが、実際にそうした心を持つことは難しいことです。しかし、普段はどんなに強い人でもガンのような難しい病気になると、シュンとなって消極的な気持ちに支配されてしまう。これでは病気に克てない、ということですね。これを克服するのは「頑張るのではなく、凛とした平常心を持つこと」。絶対的積極心とは、そういうことを意味するものです。
 もちろん、私などもそこまでは到達できませんけれども、本書をお読みいただく皆さんとともに、この絶対的積極心(あるいは絶対積極とも言います)を培っていきたいと考えています。

 山口 天祐