切らずに治療する!「シミ・シワ・ニキビ・ニキビ跡・アザ・ホクロ・イボ」最新治療
著者:山本博意
第1章------「切らずに治る!」最新の美容外科・美容皮膚科にようこそ
■誰もが気軽に治療を受けられるようになった理由とは
 かつての美容外科・美容皮膚科の治療は、入院や長期の安静が必要だった切開手術が中心でした。そのため、痛みがあったり、長期にわたって仕事を休んだり、手術の傷跡が現れるなどのデメリットが存在していたのです。
 ところが、最近では日常生活に支障をきたさない日帰り治療を選択することができるようになりました。また、手術によって容姿や容貌が激変することもなく、スムーズに快方・治療に向かう治療が確立しています。
 これはレーザーによる治療が主流となってきたためで、「切らずに治る!」ということが、広く一般に知られてきたことによるものでしょう。
 さらに、十年ほど前は、十代や二十代の方が美容外科を訪れるときには人目を避けていらっしゃるケースが多かったのですが、最近では友人や家族の紹介でいらっしゃる割合が増えてきました。
 学校や職場で、美容外科・美容皮膚科の治療法についての話題が日常的に交わされるようになり、一般の方々と美容外科・美容皮膚科の距離が、ずいぶん縮まってきたように思われます。
 若い方だけでなく、最近では年配の方も来院されるようになりました。それも、友人のご紹介で訪れる割合が増えてきているのです。
 あるご婦人は、以前はエステティック・サロンの会員だったのですが、この方はフォトフェイシャル・ファースト治療の後で、
「これなら、エステと同じね」
 と、おっしゃっていました。
 もちろん、フォトフェイシャル・ファーストやポラリス、タイタン、ジェネシス(いずれもレーザー治療器名)の場合も、医療行為として若返り治療を行っていますので、医学的に裏づけがある効果や肌質、体質の診断などは、エステと異なっています。
 しかし、治療に伴う負担はエステとさほど変わらない、という意味のことをおっしゃるのです。新しい「切らずに治る!」治療方法の登場という、治療をする側の変化だけではありません。治療を受ける方の意識にも変化が出てきているのです。
 意識の変化のなかでも大きいのは、「若返り治療」や美しくなるための努力に、女性側からも男性側からも支持が得られるようになったことです。現代のファッションリーダーである、山田優さんや黒木瞳さんたちは、自分が美しくなるためのケアや努力を隠そうとしていないばかりか、ケアや努力のことを自ら語ってもいます。
 一般の方でも、努力をしないで皮膚にトラブルを起こしたり、老いに身を任せるよりも、美しさを追求していくために、きちんとした対策を取るという行動は当たり前のものになりつつあります。気軽に美容外科・美容皮膚科を訪れる方の増加には、このような意識の変化があるのです。
■身体への負担は、最小限に抑えることが可能
「切らずに治る!」治療の一番のメリットは、治療を受ける方の身体のダメージを最小限に抑えることが可能になったという点です。
 具体的には、
1.術前の麻酔が最小限で済む(麻酔なしで行える治療も増えてきています)
2.術中・術後の痛みも非常に小さくなっている(ほとんど無痛といってよい治療も増えてきています)
3.術後にガーゼをあてたり、包帯を巻く必要がなく、安静期間も非常に短くなっている(当日から仕事に復帰することができる治療もあります)
 といったことです。
 身体へのダメージが少ないということは、治療におけるリスクが小さくなっているということでもあります。
 医療レーザーで治療を行うと、以前ならシワがとれるというメリットの一方で、痛みが強かったり、術後に色素沈着やはん痕が残るというデメリットがありました。しかし、新しく開発されたレーザーでは、こうしたデメリットが大部分軽減されてきており、ほとんどリスクがないものまで開発されているのです。
 わたしたちのクリニックでは、大学病院でもほとんど導入されていない最新の医療レーザーが何台もありますが、これも、より身体への負担が小さい治療法を追求してのことなのです。

■日常生活への支障もほとんどない治療
 また、わたしたちのクリニックでは、現在行っているすべての治療を日帰りで受けることができます。そのなかでもかなり多くの治療は、治療の当日や翌日から仕事や学校、家事などに復帰できるのです。
 美容外科にも、アゴ切りと呼ばれるアゴの骨を削る手術がありますが、こうした手術を受けると、一カ月近くの入院が必要になる場合があります。当然のことながら、こうした手術を受けようと思えば、仕事や学校、家事などを長期間休まなくてはなりません。
 緊急を要する治療なら、「仕方ない」と周囲の理解も得られるでしょうが、若返り治療のシワ取りやニキビ治療などでは、こうした長期の入院治療は周囲の理解を得られにくいだけでなく、本人の負担も大き過ぎるでしょう。
 そのため、わたしたちのクリニックでは、日常生活に支障をきたすことがない、日帰り治療が中心になっているのです。

■症状の改善だけでなく、心理的なケアにもなる治療
 ガンなど、完治させることが難しい疾患では、メンタル・ケアが治療効果を大きく左右するケースがあります。例えば、「もう治らないから、いいや」と思う患者さんと、「治らないかも知れないけれど、何とかして頑張って治る可能性にかけよう」と考える患者さんでは、治療効果に差が出てくることが多いように思われます。
 一般的に、「病は気から」という言葉に表されているように、心の持ち方一つで、体調に変化が現れることもあるのです。
 美容外科・美容皮膚科の場合でも、これに似たことがあります。
 顔が真っ赤になるほどの炎症性のニキビができていた方が、フォトフェイシャル・アクネスとシナジーレーザーの治療を行ってニキビと赤みがおさまってくると、同時並行していた医療ダイエットの効果がみるみる現れてきました。
 診療でこのことをたずねてみると、彼女は、
「もう治らないと思っていたニキビがだんだん消えてきて、人前に出たり、おしゃれをしたいと思うようになってきたんです。そう思うと、なぜかダイエットのほうも突然、順調になってきました」
 と、答えてくれました。
 同様に、治療効果によって気持ちがいろいろな意味で前向きになり、活力を与えることもあります。自営業で老人性のシミやホクロが多かった方は、
「もう歳だから、そろそろ店をたたもうかと考えている」
 と、おっしゃっていたのに、フォトフェイシャル・ファーストとウルトラパルス・CO2(炭酸ガス)レーザーによる治療で、きれいにホクロがとれて、シミも目立たなくなると、商売のほうもやる気をとり戻したといいます。
「元気なうちは、ボケ防止のためにも仕事を続けますよ」
 と、快活に話されて、わたしが目を丸くしたこともありました。
 このように、美容外科・美容皮膚科では、治療によってセルフ・イメージを高める効果があり、人生に前向きになる方がかなりの割合でいらっしゃいます。
 そのなかでも特に恋愛や友人関係など、対人関係に対して積極的になる勇気が湧いてくるケースが多いように思われます。こうした報告を受けると、医師として、とても嬉しい限りです。

■症状と肌質によって最適な治療法が決まる
 美容外科・美容皮膚科に限らず、最近日本でも医師と患者さんの間で、インフォームド・コンセントという形をとってから、治療が行われるようになってきました。
 インフォームド・コンセントという言葉を簡単に説明すると、医師が提示した治療法と、それに伴う効果、そしてリスクの可能性を患者さんが理解して、納得したうえで治療を受けるという意味になります。
 そして、インフォームド・コンセントを一歩進めた考え方として、インフォームド・チョイスという形も徐々に浸透してきています。これは、いくつかの治療法のなかから、患者さん自身がもっとも希望する条件に合うものをいくつか選ぶという意味です。
 そのためには、医師は症状に適していると考えられる、いくつかの治療法を提示しなければなりません。もちろん、医師のほうでこれが最適だと考えられる治療法がある場合は、それを提示するのですが、美容外科・美容皮膚科では、複数の治療法が考えられる場合が少なくありません。
 例えば、若返り治療のなかでも代表的なシワ取りの場合、その治療にはカイネレースやフルーツ酸、あるいは高濃度ビタミンCという成分が配合されたクリームやローションによる治療から、フェイスリフト手術まであります。
 そして、現在では主流になってきているフォトフェイシャル・ファーストやシワ取りレーザーのなかでも数種類の機種があり、しかも照射時間や照射の出力も設定によって変化します。
 当然、レーザーの照射時間や出力などの専門的なことまで患者さんが考える必要はないのかも知れませんが、どのレーザーにはどういう特長があるのかということを知っておいてから、最適なものを選んでも損にはなりません。
 そのため、わたしたちのクリニックでは、患者自身が最適の機種を選択できるように、シワ取り効果がある治療器だけでなく、フォトフェイシャル・ファーストやフォトフェイシャル・ディープ、フォトRF、タイタン、ジェネシス、フォトプラス、シナジーレーザー、ポラリス、フォトセラピー、スーパーメディティックス、ロングパルス・ダイオードレーザー、マルチフレックスなどのラインナップを用意しています。
 残念ながら、一機種しかレーザーが置いていない病院や、フェイスリフト手術しか行えない病院では、インフォームド・チョイスを患者さんが行ってから、治療に臨むのは難しいと言わざるを得ません。

■治療効果の高さと、リスクの少なさの関係
 先ほどのシワ取り治療を例にとって、次に治療効果と治療に伴うリスクについて簡単に説明しておきましょう。
 この場合、効果とはもちろんシワが消えることです。次にリスクとは、
1.身体へのダメージがあること
2.術中・術後の痛みがあること
3.術後の安静・休養期間が必要なこと
4.術後の色素沈着など、合併症が残ること
5.はん痕が残ること
 などがあります。
 効果がより大きく、リスクがより小さい治療が“ベスト”なのですが、これまではそうした理想的な治療法はありませんでした。そのため、治療効果のメリットと、リスクというデメリットの両方を検討して“ベター”な治療法を選んできたのです。
 わかりやすいように、フェイスリフト手術とケミカル・ピーリングによる治療を例にとりましょう。
 フェイスリフト手術は、治療効果という面ではもっとも期待できますが、その反面、身体へのダメージや術後の痛み、長期にわたる安静・静養が必要などのリスクが伴います。さらにフェイスリフト手術では頭髪のなかや耳のラインに沿って切開するため、その手術跡はほとんど目立ちませんが、それにしても手術跡が残ってしまうというデメリットが生じてしまうのです。
 反面、ケミカル・ピーリングは、こうしたリスクはほとんどありませんが、シワを取る効果という点では、大きな期待はできません。
 こうしたジレンマを何とか解消しようとして医師や研究者は努力してきました。その結果、フォトフェイシャル・ファーストやフォトフェイシャル・ディープ、ポラリスやタイタン、ジェネシスなどは、かなり理想に近づいた治療法といえます。
 つまり、シワを取る効果の面ではフェイスリフト手術に近づき、リスクという面ではケミカル・ピーリングとさほど変わらないのです。
 わたしたちのクリニックでは、現在シワ取り治療においては、これらの機種による治療がメインになっていますが、それにはこういった理由があったからです。そして、これらの機種のなかから、さらに効果とリスクの両面を考えて、患者さんと一緒に最適な治療法を選んでいくのです。

■これからの治療は、組み合わせ治療が主流に
 それでは実際に、どのような治療法が行われているのかを実例をもとに紹介することにしましょう。シワ取り治療の臨床例のケーススタディです。

【臨床例】三十代女性
・症状/目尻のシワが増えてきたことが来院の理由。カウンセリングをしているうちに、若いときからあるソバカスと、最近になって出てきたシミもできれば薄くしたいという希望があることもわかった。頬、まぶたも少したるみはじめている。
・治療法/フォトフェイシャル・ファースト治療とフォトフェイシャル・ディープによる治療を交互に計六回、スマート・サウンドを併用。Qスイッチ・ヤグレーザーによる追加治療を一回行う。
・治療結果/目尻のシワは、かなり改善された。頬、まぶたのタルミが引き締まり、開いた毛穴が引き締まるなどの効果も報告された。シミも目立たなくなり、ソバカスも薄くなった。

 この症例では、メインの治療となるフォトフェイシャル・ファーストとフォトフェイシャル・ディープに加えて、スマート・サウンドという医療用超音波も併用しています。
 なぜ、これらを組み合わせたのかというと、目尻の小ジワがかなり目立つようになっていたことと、まぶたや頬のタルミも始まっていたので、フォトフェイシャルだけでは取れにくいシワやタルミを解消するためです。
 さらに、この女性の場合、ソバカスやシミも改善したいということでしたので、Qスイッチ・ヤグレーザーも追加したというわけです。
 こうした症例では、フォトフェイシャル・ファーストだけでも、ある程度の改善は期待できますが、フォトフェイシャル・ディープやスマート・サウンド、Qスイッチ・ヤグレーザーなどを加えた組み合わせ治療を行ったほうが効果も大きく、治療期間も短縮できます。その結果、治療は満足度の高いものとなりました。
 今後は、こうした満足度の高い組み合わせ治療が、美容外科・美容皮膚科治療の主流になっていくでしょう。

■最新の医療レーザーがそろったクリニックを
 組み合わせ治療は、一人ひとりの希望に対するきめ細やかな治療ができる、とても有効な方法です。
 シワやタルミに対して高い効果がある最新機種に、タイタンやポラリス、ジェネシスという医療レーザーがあります。どちらも治療効果が高く、フォトフェイシャル・ファーストとの組み合わせ治療に使うことも多いのですが、Aさんにはタイタン、Bさんにはジェネシスというように、使い分けています。
 なぜなら、この二つのレーザーは、同じように真皮層にあるコラーゲンやエラスチンに熱を加えて活性化させることで、シワやタルミを改善するのですが、レーザーの波長やパルス幅、冷却・鎮静システムなどは異なりますので、効果の現れ方には差があるからです。
 そのため、肌の色や肌質、皮膚の厚さなどによって、ある方にはタイタンが適しており、また別の方にはポラリスが適しているということになります。
 このように、最適機種を選ぶことは、それぞれの症状や希望に合致する機種がそろっているクリニックでしかできません。そのために、自分に最適な治療を受けたいと希望するなら、きちんと機種をラインナップしているクリニックを選ぶことです。
 美容外科・美容皮膚科ではクリニック選びの段階で、すでに治療法がある程度決まってきます。
 わたしたちのクリニックでは、これまで治りにくかった赤アザの治療に、シナジーレーザーという専用治療器を使っていますが、これが設置されていないクリニックでは、当然のことながら別の選択をするしか方法はありません。
 同じように若返り治療でも、フォトフェイシャル・ファースト治療を行った後で、フォトフェイシャル・ファーストでは取れにくかったシワやシミを取りたいという希望があっても、対応できるクリニックと対応できないクリニックがあるのです。内科や外科でも同じことがいえますが、美容外科・美容皮膚科では特に、医療レーザーがそろっているかどうかのチェックが重要になってくるのです。
 わたしたちのクリニックでは安全性が高い治療を組み合わせ、それを繰り返し行うことによって効果をあげています。

■シワ、タルミだけでない、総合的な治療が可能に
 シワやタルミは、皮膚の老化に伴うもっとも一般的な症状ですので、若返り治療の中心となりますが、それ以外の皮膚のトラブルやプチ整形、あるいは医療ダイエットなども、わたしたちのクリニックでは行っています。
 最近では、最初シワを取りたいと希望していた方が鼻の横にできたホクロを取ったり、医療ダイエットを受けていた方がダイエットの成功後に、毛穴の開きを引き締める治療を受けたりするケースも増えてきています。
 最初は、多少の不安があったかも知れませんが、一度治療を受けて美しくなると、次にはもっとという意欲が湧いてきたり、医師への信頼が増してくるせいなのかも知れません。
 わたしは、患者さんの悩みを解決するお手伝いをし、美しくなる喜びを得るための手助けをするのが、美容外科・美容皮膚科の医師の仕事だと思っています。そのため、気になる症状を改善することはもちろん、その方らしい美しさを引き出すためのアドバイスをすることもあります。
「シワが気になる」——。最初はこんな悩みでいらっしゃる方とも、どのポイントをどのような方法で改善すればよいのかということを、いっしょに相談しながら決めていきますので、先に述べたような総合的な治療が可能になるのです。

■若返り治療は、一人ひとりに最適のオーダーメイドの方法で
 わたしたちのクリニックで現在行っている治療は、若返り治療のシワやタルミの解消に加えて、さまざまな皮膚のトラブルにも対応できる多岐にわたるものです。
 次章から順を追って紹介する治療法は、すべて実際に行っているもので、一つの症状にもいくつものアプローチがありますが、いくつかの治療を組み合わせることを含めて、その方に最適な治療法を選んでいます。
 また、老化してきた皮膚の場合は、シワやタルミ、シミというように、複数のトラブルを併発させてしまうことがよくあります。そのため、若返り治療では総合的な視点から、最適の治療法を選択することもあるのです。
 さらに、人の顔がそれぞれ異なるように、皮膚の老化も症状はさまざまです。
 シワが深い方、シミが目立つ方、ホクロが大きい方、皮膚のタルミが目立つ方など、千差万別なのです。
 さらに、症状が異なるだけでなく、本人が改善を希望するポイントもまちまちです。似たような複数の症状が併発している場合でも、とにかくシミが取れればよいという方もいれば、シワが気になる方、シワもタルミもシミもすべてきれいに治したいと希望する方もいらっしゃいますので、それぞれの希望を叶えて差し上げるためには異なる治療法を行うこともあります。
 つまり、より希望に沿うためには、組み合わせ治療や持続的な繰り返し治療などを用いたオーダーメイドの治療法が必要になってくるのです。
 医療レーザーの進化によって、以前では考えられなかった治療法が登場してきていることは、別の場所でも繰り返し述べてきました。
 赤アザの医療レーザーによる治療や、ニキビの専用光線治療器などがそうで、どちらも数年前までにはなかったものです。
「以前、治療を受けようと思ったことがあったけど、効果やリスク、それに治療期間や費用の面で、治療を受けることに踏み切れなかった」という方でも、現在は昔の問題点がクリアされている可能性は大いにあるのです。
 悩んでいらっしゃる方は一度、カウンセリングを受けられることをお勧めします。
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