医師による切らずに安心な 白斑、乾癬、アトピー、傷跡の最新治療
著者:山本博意
序章------最先端の医療レーザーが切り拓く
      白斑と乾癬、アトピー性皮フ炎、傷跡治療の新局面
美容皮フ科医師の皮フ疾患における基本スタンス
 白斑、乾癬、アトピー性皮フ炎といった皮フ疾患や傷跡は、生命にかかわるような機能障害ではありません。しかし、症状にはかゆみや痛みなどをともなうこともあり、その辛さを解消・軽減するための治療が必要になります。
 しかし、美容皮フ科医師である私は、こうしたかゆみや痛みを解消・軽減するための治療だけで良いとは考えません。
 こうした皮フ疾患では、症状が外見にダイレクトに表れるために患者さんの心理に大きな負担をもたらします。この心理的な負担がもとになって白斑、乾癬、アトピー性皮フ炎の患者さんたちは、対人関係などで大きなストレスを感じる方も少なくありません。
私自身も子供のころ手首にあざがあり、それをからかわれた経験があるのでよくわかるのですが、他人のぶしつけな視線が心の痛みになることがあるのです。さらに視線だけでなく、時には心無い言葉をかけられたりすることもあります。患者さんが子供や学生の場合には、からかいがいじめにつながることもあります。
 これは白斑と乾癬、アトピー性皮フ炎といった皮フ病だけではなく、外傷や火傷のケロイド、手術跡などにもいえることです。
 美容皮フ科の専門医としては、こうした患者さんの心理的な負担にも配慮した治療が必要だと思うのです。
 具体的には、
●皮フ疾患を治療し、健康で正常な機能をもたらすことを目指すだけではなく、
●治療に際して、患者さんに満足していただけるように、できるだけ身体的なダメージが少ない治療を選び、治療跡もできるだけ美しくすることを心がけています。
 後で簡単に説明しますが、現在の医療現場では、白斑、乾癬、アトピー性皮フ炎に対しては、いろんな方法で治療が行われています。そのなかで、
●治療に際して、患者さんに満足していただけるように、できるだけ身体的なダメージが少ない治療を選び、治療跡もできるだけ美しくするという私の方針にもっとも適しているのが、それぞれの症状に合った専用の医療レーザーを使った治療なのです。
 次に医療レーザーの利点について、もう少し詳しく紹介しましょう。

医療レーザー治療のメリット
 白斑や乾癬、アトピー性皮フ炎というそれぞれの疾患の症状や原因については後で述べるとして、ここではなぜ私がこうした皮フ疾患に医療レーザーを中心とした治療を行っているのかを説明しましょう。
 まず、医療レーザー治療には外科的な手術のように皮フにメスを入れることがないというメリットがあります。外科手術ではどうしても出血をともなう切開や縫合が必要となるので、手術後には安静期間をとらなければなりません。
 また、外科手術では身体への侵襲の度合いが大きくなるので、術後の合併症や後遺症といったリスクのことも考えなくてはなりません。疾患の治療という目的のためではあるのですが、術後の安静期間や合併症や後遺症といったリスクが患者さんの大きな負担になることは避けられません。
 しかし医療レーザー治療では、メスで皮フを切る必要がまったくないので、こうした負担を避けることが可能になります。この患者さんの負担が非常に少ないという点が、医療レーザー治療の最大のメリットです。
 その次に医療レーザー治療のメリットをあげるとすれば、治療における照射の強弱や回数などが調整しやすいことでしょう。白斑や乾癬、アトピー性皮フ炎などの治療には、それぞれの症状に適応した専用の医療レーザーを使います。専用レーザーによる治療は、経過を見ながら出力を調整したり、治療の頻度や回数、治療部位などの選択を細かく行ったりすることができるのです。
 もちろん、治療においては最初の問診・診察で方針を立てますが、それっきりというわけではなく治療経過を観察し、より最適な治療にするために細かく修正しながら“オーダーメイド治療”を行えるのがレーザー治療の特長です。
 外科手術では、こうしたきめ細やかな治療は難しいのですが、レーザー治療なら患者さんが自分の治療経過を確認しながら判断できるのです。
 私が積極的にネットや著作、テレビ出演などで、美容皮フ科、皮フ科分野の最新医療レーザー・光線治療技術を紹介しているのは、症状に苦しむ患者さんたちにこの治療のメリットを知っていただきたいからに他なりません。

病院・クリニックによって治療法が異なる理由
 医療レーザーによる皮フ疾患治療のメリットを何となくでもおわかりいただけたでしょうか。もちろん、医療レーザーなら何でもいいというわけではありません。白斑、乾癬、アトピー性皮フ炎、傷跡の治療には、それぞれの症状に適した専用レーザーを用いる必要があります。
 また、傷跡一つをとっても、赤い傷跡、白いキズ跡、茶色がかった傷跡、青味がかった傷跡、ケロイド状の傷跡などがあって、それぞれに適応するレーザーが異なるので症状に応じたレーザーの使い分けが必要となります。
 私が院長を務める精美スキンケアクリニックでは、日本でもいち早くアンチエイジングや皮フ疾患のレーザー治療を行ってきました。現在では様々な患者さんの希望に沿った治療を可能にするために、約60台の医療レーザーや光線治療機器を揃えていますが、白斑、乾癬、アトピー性皮フ炎、傷跡の専用レーザー・光線治療機器についても、日本で最も早い段階に導入し治療実績を上げてきています。
 しかし、残念ながらこうした最新の専用レーザー・光線治療機器を取り揃えていない美容外科や皮フ科の病院やクリニックも多く、そういった病院やクリニックでは最新の治療が受けられないのが現状です。
 施設や治療機器が整っていない病院やクリニックのなかには、最新の治療法を希望する患者さんに、専用レーザー・光線治療機器が揃っている病院やクリニックを紹介してくれるところもありますが、旧来の患者さんに負担が大きい方法や効果があまり期待できない方法で疾患を治そうとするところが多いのも事実です。

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