ブリッジセラピーによる
ニキビ・ニキビ跡・毛穴の開き・目の下のクマ 完全治療マニュアル
著者:山本博意
第1章------四十代にまでひろがる “アダルトニキビ”
増えてきているアダルトニキビ
 ニキビは、毛穴の部分に皮脂やアカなどの汚れが詰まってできます。十代になって第二次性徴が始まり、性ホルモンの働きが活発になると、皮フにある皮脂腺からの分泌が増え、これが毛穴につまってニキビになっていきます。
 思春期の男女の約八〇%がニキビを経験するとも言われ、ニキビは「誰もが青春時代に一度は悩まされることの多い皮フ疾患」の代表といえるでしょう。
 ニキビがもっとも発症しやすい時期は十代なので、かつて「二十歳過ぎれば吹き出物」といわれたように、十代特有の皮フ疾患というイメージが浸透していました。しかし、近年になって、二十代以降の大人にもニキビで悩む人が目立って増えてきました。
 健康雑誌や女性誌では、数年前から「アダルト・ニキビ」という呼び方で、この二十代以降の大人のニキビについての特集がいくつも組まれてきているので、御存知の方や、また自らが悩んでいる方も少なくないでしょう。
 わたしが院長を務めている、美容皮フ科・美容外科の専門クリニック・精美スキンケアクリニックでも、ここ四、五年の間に思春期のニキビに加えてアダルトニキビの治療を希望して来院される方が増えてきています。
 いまや、ニキビ治療は十代だけのものではなく、二十代、三十代、四十代まで必要なものとなってきているのです。
 この傾向は年々強くなっていて、現在では、アダルトニキビの患者さんが思春期のニキビの患者さんより多くなっているほどです。

アダルトニキビの特徴
 このアダルトニキビは、疾患の症状としては思春期のニキビと同じですが、
○思春期ニキビと比較して女性の割合が高い
○メイクをする機会が多いので、こまめな洗顔などができない
○仕事のときメイクをしなければいけないので塗り薬を使えない
○仕事や家事などで生活が不規則になりがち
○思春期ニキビと比較して長期にわたって発症することが多い
などという特徴があります。
 まず、アダルトニキビは女性に多いという点について見てみましょう。思春期ニキビでは治療を希望する重症例は男性のほうが多いのに対し、アダルトニキビの重症例は大半が女性だという傾向があるのです。
 男性の思春期ニキビは、男性ホルモンの分泌と密接に関係していることがわかっていますが、女性の場合は黄体ホルモンなどの女性ホルモンも関係しているといわれています。
 しかし、アダルトニキビの原因については、性ホルモンの分泌だけでは説明できず、生活習慣や生活環境との関連が強いと考えられています。つまり、現代の女性は、アダルトニキビという皮フ疾患になりやすい生活習慣や生活環境におかれているといえるのです。
 女性において、中高生ぐらいのときと比較して、二十歳以降になると圧倒的にメイクする機会が増えるでしょう。特に働いている女性は、こまめな洗顔はなかなか難しいことも多いでしょう。
 こうしたこともあって、アダルトニキビは思春期のニキビよりも治りにくく、長期に及んで慢性化しやすいという難点があるのです。
 つまり、アダルトニキビ治療には、体質や肌質、そして生活習慣や生活環境まで視野に入れた治療が必要になってくるのです。

ニキビは精神的なダメージになりやすい疾患
 ニキビの治療をしていると、ニキビは患者さんにとって大きな精神的なダメージをもたらすことの多い疾患であることがわかります。たった一つのニキビが鼻の頭にできただけで、仕事や学校、あるいは冠婚葬祭などのセレモニーへ行くのが嫌になるというケースは決して珍しいことではありません。
 ニキビがひどいと、仕事や学校生活にまで支障をきたすこともあります。
 ましてや、炎症を起こしたり膿んだりして顔が赤く腫れているような症状では、人前に出たくなくなったり、人前で顔を見られるのを避けるようになったりと、対人関係における劣等感の原因となってしまうこともあります。
 ニキビがきっかけとなった登校拒否や出社拒否、ひきこもりなどのケースまであるので、「たかがニキビ」といって片付けられないのです。
 また、ほとんどの場合、ニキビは思春期から発症するので対人関係、特に異性との関係における自己評価が、ニキビによって損なわれてしまうことも少なくありません。
 「わたしの肌は美しくない」
ニキビで悩んでいる女性には、こうした自分を否定するような思いを抱えていらっしゃる方が少なくありません。
 医師としてわたしは、ニキビ治療はニキビで悩んだり苦しんだりする心(精神)の健康のためにも有益だと考えています。

ニキビ──これだけはやってはいけないこと
 ニキビで悩み続けている人の心の痛みは本当に深刻です。こうした心の痛みは大きなストレスとなり、さらにニキビの症状悪化を招くような習慣を生むという悪循環を引き起こしかねません。
 特に、次のような行為は、あとあと後悔することになることが本人にもわかっているにもかかわらず、ついつい繰り返してしまうことが多いものです。
 なかでも、最も注意が必要なのは、ニキビを指や爪でつぶす行為です。心理的には、「ニキビを早くつぶして、なくしてしまいたい」という思いからの行為でしょうが、皮フの組織を傷つけたり、細菌による炎症を引き起こしたりと、キズ跡が残るようなリスクが大きい行為なので決してやってはいけない行為です。
 デコボコがあったり色素沈着が残っているような目立つニキビ跡ができている方に、かなりの割合でこの指や爪でニキビをつぶす行為が見受けられるので、絶対にやらないように注意が必要です。
 また、過度の洗顔やファンデーションの厚塗りなども避けたい行為です。
 適度な洗顔とスキンケアは、ニキビの治療や予防に有効ですが、なかには一日に何度も洗顔剤を使ったり、ゴシゴシとこするように洗顔し、かえって皮フに刺激を与えすぎて症状を悪化させていることもあります。
 アダルトニキビの場合は、皮フの機能低下が疾患を引き起こすことが多く、保湿性が失われるのはよくないので、自己流の過度な洗顔はやめたほうが良いでしょう。
 また、ニキビやニキビ跡が目立つのを防ごうと、つい厚化粧をしてしまうという人もいます。この行為も、ファンデーションを塗る際やクレンジングの際に、ニキビができている患部を刺激して悪化を招くことになりかねません。また、ファンデーションの残りかすが毛穴に詰まってしまい、ニキビを隠すためのメイクがニキビをつくってしまうという本末転倒な事態となることも少なくありません。
 患部を目立たなくするカバーメイクは必要最小限にとどめ、やはり根本からの治療をしたほうがよいでしょう。
●自己評価を下げるニキビという疾患
 「わたしの肌は汚い」
 ニキビで悩んでいる女性には、こうした自分を否定するような思いを抱えていらっしゃる方が少なくありません。
 特に家族や友人、恋人などからニキビについて心無い言葉を受けた経験がある方は、そのことがトラウマとなって、他人の視線に過敏になることが多いようです。
 しかし、ニキビはきちんとした治療で改善できる疾患です。治療しないで長期にわたって精神的な負担を背負い続けるよりも、きちんと専門医のもとで治療をして、自分のQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を高めることが賢明だといえるでしょう。
 ニキビで悩んだり、他人から顔を見つめられるのが嫌だと思うようなら、一人で困っているよりも専門医で治療を受けることをお勧めします。
 さらに、もう一つ早期のニキビ治療を勧める理由があります。それは、ニキビは将来にまで影響が及ぶ問題だからです。現在では、ニキビ跡を目立たなくする治療もありますが、ニキビ跡ができる前にニキビ跡の原因をつくる炎症そのものを治療するほうが良いに決まっています。
 ニキビができやすく炎症や膿などの症状が出ている患者さんは、現在だけではなく将来の美容的観点からも早期治療が望ましいのです。

アダルトニキビにも最適なトータル・ニキビ・ニキビ跡・毛穴治療プログラム
 ニキビで悩んでいる人のなかには、さまざまな洗顔剤や市販薬を試したり、皮フ科や美容外科、あるいは民間療法を試した経験がある人が少なくありません。しかし、効果がなかったり、効果が持続しないこともあるようで、精美スキンケアクリニックのニキビ外来では、そうした訴えを聞くことがよくあります。
 特にアダルトニキビで悩んでいる人は、長期にわたって苦しんでいるせいもあってその訴えは深刻にならざるを得ません。
 しかし、精美スキンケアクリニックのトータル・ニキビ・ニキビ跡・毛穴治療プログラムでは、アダルトニキビも思春期のニキビと同じように治療できるので安心です。治療の実際はのちに詳しく説明しますが、精美スキンケアクリニックのトータル・ニキビ・ニキビ跡・毛穴治療プログラムでは、疾患の症状が治るだけでなく、肌質や体質を改善することによる予防や、デコボコになったニキビ跡をきれいにすることもできます。
 このニキビにならないための予防や過去の疾患の後遺症ともいえるニキビ跡の改善は、トータル・ニキビ・ニキビ跡・毛穴治療プログラムの特長です。ニキビという疾患がいったん治っても、すぐに再発することや治療跡がデコボコに残ってしまうことがあっては治る嬉しさは半減してしまいます。
 そうした、再発の予防やニキビ跡の改善も視野に入れたプログラムが、ニキビに悩まされている患者さんの「治療への満足度」を高めるものとして好評を頂いています。

----------------------------------------